高血圧の治療は、単に「血圧の数値を下げること」だけが目的ではありません。高い血圧が続くことで血管に負担がかかり、将来的に脳卒中(脳梗塞・脳出血)や心筋梗塞、慢性腎臓病などの重大な合併症を引き起こすのを防ぐことが真の目的です。

治療は大きく分けて「生活習慣の修正(食事・運動など)」と「薬物療法(降圧薬の内服)」の2つの柱から成り立っており、患者さん一人ひとりの血圧の値や、他に持病(糖尿病や腎臓病など)があるかどうかに合わせて段階的に進められます。

1. 治療の第一歩:生活習慣の修正(非薬物療法)

軽度の高血圧であれば、まずは生活習慣を見直すだけで数値が正常範囲に戻ることも多く、薬を飲む場合でも薬の効果を高めるために不可欠な土台となります。

  • 減塩(最も重要): 日本の高血圧治療ガイドラインでは、1日6g未満が推奨されています。ラーメンのスープを地道に残す、出汁(だし)や香辛料、レモンなどの酸味を活かして醤油の量を減らすといった工夫が効果的です。

  • 食生活の見直し: 野菜や果物、大豆製品に多く含まれる「カリウム」は、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります(※腎臓病がある方は制限が必要な場合があります)。
    また、肉類の脂(飽和脂肪酸)を控え、魚の油(EPA・DHA)を摂ることも推奨されます。

  • 適正体重の維持(肥満の解消): 体重が1kg減ると、血圧が約1〜2mmHg下がると言われています。BMI(体重kg÷身長m÷身長m)で25未満を目指します。

  • 適度な運動: ウォーキング、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を、1日30分以上、できれば毎日(または週に定期的に)行うことが効果的です。
    ※非常に血圧が高い場合は、運動によって血圧が上がりすぎると危険なため、医師の指示に従ってください。

  • 節酒・禁煙: 過度の飲酒は血圧を上げます。また、タバコは吸った直後に血管を収縮させて血圧を上げるだけでなく、動脈硬化を急速に進行させる最大のリスク要因であるため、禁煙は必須です。

2. 医師の判断で行う:薬物療法(降圧薬)

生活習慣を修正しても目標の血圧まで下がらない場合や、受診時の血圧が非常に高い場合、すでに糖尿病などの合併症がある場合は、体に合ったお薬(降圧薬)を組み合わせて治療を行います。

現在使われている主な降圧薬には以下のような種類があり、患者さんの年齢や合併症の有無に合わせて選ばれます。

  • ARS阻害薬(ACE阻害薬 / ARB): 血管を収縮させる体内物質の働きを抑えるお薬です。心臓や腎臓を保護する作用が強いため、糖尿病や腎臓病を合併している方に特によく使われます。

  • カルシウム拮抗薬: 血管を拡張させて血圧を下げる、最も一般的で効果がしっかり出やすいお薬です。
  • β(ベータ)遮断薬: 心臓の過剰な働きを抑え、脈拍を落ち着かせることで血圧を下げるお薬です。
  • 利尿薬: 体内の余分な塩分と水分を尿として排出させ、血液のボリュームを減らすことで血圧を下げます。

💡 「一度飲み始めたら一生やめられない?」という不安について

「血圧の薬は一度飲むと一生やめられない」と思われがちですが、それは誤解です。 薬を飲んで血圧が下がっている間に、減塩や減量などの生活習慣の改善がしっかりと進み、薬なしでも正常血圧を維持できるようになれば、医師の判断のもとで薬の量を減らしたり、最終的に中止(卒業)できたりするケースは多々あります。

3. 治療をスムーズに進めるためのポイント

  • 家庭血圧の測定: 病院の診察室では緊張して血圧が高くなる方(白衣高血圧)も多いため、自宅でのリラックスした状態の数値(家庭血圧)が非常に重要な治療の指標になります。「朝(起床後1時間以内、トイレの後、朝食・内服の前)」と「晩(就寝前)」の1日2回、座った姿勢で測定し、記録しておくと医師が最も適切な治療を判断しやすくなります。

  • 自己判断での中断はNG: 高血圧は「サイレントキラー(静かなる殺人者)」と呼ばれ、自覚症状がほとんどありません。「調子が良いから」「症状がないから」と自己判断でお薬を減らしたりやめたりしてしまうと、知らないうちに血管が傷つき、脳卒中などのリスクが跳ね上がってしまいます。

会社の健康診断などで「血圧が高い」と指摘された場合は、放置せずに、まずは受診して生活習慣の相談や診察を受け、ご自身のライフスタイルに合わせた無理のない治療計画を医師と一緒に立てていくことが大切です。

土曜診療・Web順番受付で、お仕事帰りや休日にも通いやすく

生活習慣病の治療で最も大切なのは「定期的に通院を続けること」です。しかし、お仕事や家事で忙しい現役世代にとって、病院での長い待ち時間は大きな負担になります。

そこで、しまだクリニックでは以下の取り組みを行っています。

  • 土曜日も診療: 平日はお忙しい方も、週末を利用して無理なく通院いただけます。

  • 平日夜7時まで診療:仕事帰りなどのスキマ時間にぜひご来院ください。
  • Web順番受付(iCall): スマホから当日の順番受付ができ、リアルタイムで待ち人数がわかります。院内での待ち時間を最小限に抑えられます。

「要精密検査」の紙をそのままにしてしまっている方、健診結果の見方がよくわからない方も、まずは一度その結果の紙を持って、お気軽にご相談ください。