乳幼児への言葉の教え方

乳幼児への言葉の教え方は、カードやドリルで知識として覚えさせるのではなく、「言葉を使ったコミュニケーションの楽しさを体験させること」が何よりの基本となります。

発達段階ごとに「いつから」「どのように」接していくと自然に言葉が育つのか、時期別のステップとポイントをまとめました。

1. 時期別の発達と関わり方(いつから・どのように)

① 生後0ヶ月〜6ヶ月頃(「聞こえている・感じている」時期)

  • 言葉の状態: 「アー」「ウー」といった喃語(なんご)や泣き声で気持ちを表現します。まだ意味のある言葉は話せません。

  • 教え方・関わり方:

    • 「応答(おうとう)」を返す: 赤ちゃんが「アー」と言ったら、「アーだね」「ご機嫌だね」と笑顔で返してあげます。「自分の声に応えてもらえる体験」が会話の土台になります。

    • 実況中継(実況アナウンス): 「おむつ替えようね」「おいしいおミルクだね」「お外が明るいね」など、大人の行動や目の前の状況を声に出して話しかけます。

② 生後7ヶ月〜1歳頃(「言葉の意味がわかり始める」時期)

  • 言葉の状態: 「バババ」「マンマ」など音の種類が増えます。「バイバイ」「ちょうだい」などの簡単な指示や言葉の意味(物の名前など)を理解し始めます。

  • 教え方・関わり方:

    • 「指差し」と「言葉」をセットにする: 赤ちゃんが興味を持ったものを指指したとき、「ワンワンだね」「赤いブーブーだね」と名前を言語化して伝えます。

    • 手振り(ジェスチャー)を交える: 「バイバイ」「パチパチ」「上手〜」など、動きと言葉を一緒に見せると理解しやすくなります。

③ 1歳〜1歳半頃(「意味のある一語」が出始める時期)

  • 言葉の状態: 「ブーブー」「マンマ」「ワンワン」「イヤ」など、意味を持った単語(一語発声)が出てきます。

  • 教え方・関わり方:

    • 正しい言葉(成人語)も添える: 子どもが「ブーブー」と言ったら、「そうだね、ブーブーだね。かっこいい自動車だね」と否定せずに受け止めつつ、大人の言葉も聞かせてあげます。

    • 気持ちを代弁する: 泣いたり指を指したりしたときに、「おもちゃ取りたかったんだね」「お腹すいたね」と子どもの気持ちを言葉に翻訳してあげるのが効果的です。

④ 1歳半〜2歳頃(「言葉の爆発期・二語文」の時期)

  • 言葉の状態: 語彙数が急激に増え(言葉の爆発期)、「ワンワン きた」「ブーブー ちょうだい」といった二語文が出てきます。

  • 教え方・関わり方:

    • やり取り(会話のキャッチボール)を増やす: 「あそこに何がある?」「どれが好き?」など、本人が答えやすい質問を投げて会話のラリーを楽しみます。

    • 言葉を少し広げて返す: 子どもが「お花」と言ったら、「きれいなお花が咲いているね」と言葉を補足して返してあげます。

2. 日常生活で取り入れやすいおすすめの言葉遊び

  1. 絵本の読み聞かせ

    • 文字をそのまま読むことだけにこだわらず、「わんわん居たね」「美味しそうだね」と絵を見ながらやり取りを楽しむことで、語彙やイメージ力が一気に広がります。

  2. 手遊び歌・歌唱

    • リズムやメロディに乗せた言葉は頭に残りやすく、楽しく発声の練習になります(「げんこつやまのたぬきさん」「むすんでひらいて」など)。

  3. ごっこ遊び

    • おままごとやお医者さんごっこなどは、「どうぞ」「ありがとう」「おいしいね」といった文脈に合わせた言葉の使い方を身につけるのに最適です。

3. 言葉を教える際の注意点・大切にしたいポイント

  • 「言わせよう」とプレッシャーを与えない 「ワンワンって言ってみて?」「これは何?」と詰め込みすぎると、話すこと自体を嫌がってしまうことがあります。

  • スマホやTVを見せっぱなしにしない テレビや動画からの「一方通行の音」だけでは、コミュニケーションとしての言葉は育ちにくいと言われています。観た後に「楽しかったね」「面白かったね」と大人が声をかけてインタラクティブ(双方向)にすることが大切です。

  • 個人差を温かく見守る 言葉の出る時期には大きな個人差(半年のズレは当たり前)があります。こちらの言うことが理解できていて、視線が合い、喃語や身振りでやり取りができていれば、言葉のコップ(理解)に水が溜まっている最中です。焦らずゆっくり話しかけてあげてください。