初夏にかけて流行する喉の痛みと発熱 溶連菌感染とアデノウィルス感染の違い
アデノウイルスと溶連菌はどちらも「急な高熱」と「強い喉の痛み」を引き起こすため、初期症状での見分けが非常に難しい感染症です。
しかし、その正体は「ウイルス」か「細菌(バクテリア)」かという決定的な違いがあり、それによって治療法や特徴的な症状が変わってきます。改めて詳しく整理しました。
1. 根本的な原因の違い
- アデノウイルス感染: ウイルスによる感染症です。インフルエンザなどと同様に、特効薬(ウイルスを直接退治する薬)がないため、解熱剤などで症状を和らげながら自分の免疫力で治るのを待ちます。
- 溶連菌感染: 細菌(A群β溶血性レンサ球菌)による感染症です。こちらは抗生剤(抗菌薬)が劇的に効くため、病院で処方された薬を正しく飲むことが最優先されます。
2. 症状で見分けるポイント
どちらも喉が真っ赤に腫れて白く膿(おや)を持つことがありますが、それ以外の場所に異なる特徴が出ます。
アデノウイルス特有の症状
- 目に症状が出る(結膜炎): 白目が真っ赤に充血したり、目やにが大量に出たりします(このタイプは「プール熱」とも呼ばれます)。
- 風邪の症状を伴う: 喉の痛みだけでなく、咳や鼻水、時に下痢や腹痛などを伴うことがあります。
- 熱が長引きやすい: 39〜40度近い高熱が、4日〜1週間ほどダラダラと続く傾向があります。

溶連菌特有の症状
- 舌がブツブツになる(イチゴ舌): 発症して数日すると、舌の表面がイチゴのように赤くブツブツに腫れ上がります。
- 体に発疹が出る: 首や胸、手足の付け根などに、小さくてザラザラした赤い発疹が出ることがあり、かゆみを伴うこともあります。
- 咳や鼻水が出ない: 「咳や鼻水は全く出ないのに、喉だけが猛烈に痛くて高熱が出る」 のが典型例です。

3. 治療と「薬の飲み方」の重要な違い
ここが医療において最も重要な違いです。
- アデノウイルス: 対症療法(熱や痛みを抑える)を行い、通常は1週間ほどで自然に治ります。
- 溶連菌: 医師から処方された抗生剤を、指示された期間(一般的には10日間前後)必ず最後まで飲み切る必要があります。
※注意: 溶連菌は抗生剤を飲むと1〜2日で驚くほど熱が下がり、喉の痛みも消えます。しかし、そこで自己判断で薬をやめてしまうと、体内に残った菌が原因で「急性糸球体腎炎(腎臓の病気)」や「リウマチ熱」といった重い合併症を引き起こすリスクがあります。症状が消えても、菌を完全に全滅させるために必ず最後まで飲み切ってください。
4. 登校・登園(出席停止)の基準
どちらも学校保健安全法で出席停止期間が定められています。
- アデノウイルス: 熱や喉の痛みなどの主要な症状が消えた後、2日を経過するまで。
- 溶連菌: 抗生剤を飲み始めてから24時間が経過し、熱が下がっていれば登校・登園が可能です(周囲への感染力がすぐになくなるためです)。
医療機関では、喉の粘膜を綿棒で少しこするだけの「迅速検査キット」を使えば、どちらも5〜15分程度でその場で診断がつきます。
「高熱と喉の痛み」がある場合は、どちらの可能性もあるため、早めに医療機関を受診して検査を受けてください。


