風邪の原因は?

SNSやニュースで「福岡で謎の風邪が流行っている」と大きな話題になっています。
ゴールデンウィーク明け頃から、福岡県内の医療機関でもインフルエンザや新型コロナではない「風邪」の症状を訴えて来院する人が急増しているようです。

今回は風邪の原因について詳しくご説明します。

風邪の原因の約80%〜90%は「ウイルス」です。
一言で「風邪のウイルス」と言っても、実は200種類以上の仲間がいます。そのため、一度風邪をひいて免疫ができても、別のウイルスが原因で何度も風邪をひいてしまうのです。
原因となる主なウイルスや、「寒さ」との関係についてまとめました。

1. 風邪を引き起こす主なウイルス
季節や年齢によって、原因になりやすいウイルスが異なります。

ライノウイルス(全体の3〜5割)
特徴: 風邪の原因で最も多い
季節: 主に春や秋。鼻水や鼻づまり、のどの痛みが中心で、熱はあまり出ない。

コロナウイルス(新型コロナ以外の通常の4種類)
特徴: ライノウイルスに次いで多い。
季節:冬に流行る一般的な風邪の多くがこれです。

アデノウイルス
特徴:
のどの痛みが強く、プール熱(咽頭結膜熱)の原因にもなる。高熱が出やすい。

RSウイルス
特徴: 乳幼児が感染すると気管支炎などを起こしやすく、大人は軽い風邪で済むことが多い。季節: 夏から秋にかけて流行。

ヒトメタニューモウィルス
近年、検査キットの普及によって「風邪だと思ったらこのウイルスだった」と診断されるケースが増えています。
特徴:RSウィルスと似た症状で、激しい咳と熱です。
2歳〜3歳までにほとんどの子供が初めて感染すると言われています。ただし、免疫が長続きしないため、大人になっても何度もかかります(大人は軽い風邪で済むことが多いですが、高齢者は重症化することもあります)。
季節:(3月〜6月頃)に流行のピークを迎えます。

これらのウイルスの風邪に抗生物質は全く効きません。
効果がないにもかかわらず服用することで、腸内細菌に作用して下痢・軟便といった消化器症状をきたしたり、体内の細菌が薬に対して耐性菌に変化するといったデメリットが生じる可能性があります。
このため、去痰剤など対症療法が治療のメインとなります。

2.インフルエンザ・新型コロナとの違い
インフルエンザ・新型コロナもウイルスが原因ですが、一般的な風邪よりも症状が重く、38℃以上の急な高熱や強い筋肉痛・だるさを伴い、感染力が強いため、通常の風邪とは区別されます。

3. 残りの10%〜20%の原因は?
ウイルス以外では、「細菌(さいきん)」やマイコプラズマなどが原因になることがあります。
ウイルスと細菌はまったくの別物で、細菌による感染(溶連菌などのどの感染症)の場合は、病院で処方される抗菌薬(抗生物質)が有効です。

4. 「寒さ」や「寝冷え」は原因じゃないの?
よく「寒い格好をしていると風邪をひく」と言われますが、寒さそのものが風邪の直接の原因ではありません。
ただし、以下のような理由で風邪をひく「きっかけ」を作ってしまいます。
・免疫力の低下:
体が冷えると血管が縮み、血行が悪くなって免疫細胞の働きが落ちます。
・乾燥:
冬の乾燥や口呼吸によって、鼻やのどの粘膜(ウイルスをブロックするバリア)が乾き、ウイルスが体内に侵入しやすくなります。

「ウイルス」という原因がそこにあり、寒さや疲れで「体のバリア(免疫)」が弱まったときに、感染が成立して風邪を発症する、というイメージです。

5.今の時期(5月)に注意したいこと
現在の春の時期は、朝晩と日中の寒暖差が大きく、自律神経が乱れて体が疲れやすくなっています。「ヒトメタニューモウイルス」も春から初夏に流行しやすいため、大人が外から家に持ち込まないよう、帰宅後の手洗いは特に念入りに行うのがおすすめです。