新型コロナウィルスワクチン開発動向

早期の開発が待望される新型コロナウィルスワクチンですが、大阪のベンチャー企業が来春以降の実用化を目指して治験を開始すると発表しました。

コロナワクチン、国内初の治験開始…来年春以降の実用化目指す

配信 読売新聞

世界的な競争となっている新型コロナウイルス感染症のワクチン開発で、医療新興企業アンジェス(大阪府茨木市)は30日、国の承認を得るために人へ投与して安全性や効果を確かめる治験を始めたと発表した。国内でも製薬大手などが開発に乗り出しているが、治験まで進むのは初めて。大阪市立大病院で30人に接種する計画で、2021年春以降の実用化を目指す。  ワクチンは、接種することで、体内にウイルスの働きを抑える抗体ができ、感染や重症化を防ぐとされる。早期の実用化が新型コロナウイルスの感染収束につながると期待されている。

現在世界中で140種類以上の新型コロナウィルスワクチンが開発されています。
ワクチンには色々な種類があります。今回のアンジェスの開発中のワクチンは遺伝子(DNA)ワクチンです。DNAワクチン技術は、エイズやインフルエンザなどの感染症、がん、アレルギー、アルツハイマーなどの疾患に対して開発の進んでいる次世代のワクチンで、抗原蛋白質をコードする遺伝子形で抗原を生体に接種するという、分子生物学的技術を取り入れた最先端の免疫法です。
しかしその一方で、DNAワクチンがなぜ効くのかの解明はあまり進んでおらず、より効果的なワクチンの開発や副作用の予防のためにも、免疫学的・生理学的作用メカニズムの解明が急がれています。
実際に2021年春以降に実用化されるかは隔日ではありません。

ワクチン開発、世界で140超 時間短縮の新タイプも

配信 朝日新聞

新型コロナウイルスの感染や重症化を「免疫」の働きで防ぐため、世界各国でさまざまなワクチンの開発が進んでいる。どのようなワクチンが研究されているのか。実用化が待ち望まれているのに、時間がかかるのはなぜなのか。
世界保健機関(WHO)によると、新型コロナウイルスのワクチンは6月22日時点で140種類を超す研究が進み、すでに13種類がヒトで安全性や効果を調べる臨床研究の段階に入っている。  たとえば、ウイルスの毒性を弱めて体内に入れる「生ワクチン」や、感染性をなくしたウイルスやその一部を使う「不活化ワクチン」がある。生ワクチンは麻疹(はしか)など、不活化ワクチンはインフルエンザなどで実績があるワクチンだ。  ただ、こうした従来型ワクチンには課題もある。ウイルスそのものをワクチンの材料に使うため、ウイルスを培養して増やすのに長い時間がかかり、感染を防ぐため厳重に管理された設備も必要だ。  そこで、開発時間やコストを抑えられると期待されるのが、ウイルスそのものを材料に使わないタイプのワクチンだ。  遺伝子操作技術を使ってウイルスのたんぱく質を作り、ワクチンの材料に使う「遺伝子組み換えたんぱくワクチン」や、ウイルスの外見そっくりな「VLPワクチン」がある。  さらに新しいタイプのワクチンとして「遺伝子ワクチン」が開発されている。ウイルスの遺伝情報の一部だけを体内に入れることで、免疫反応を起こす。 遺伝子ワクチンは、日本では製薬企業アンジェスと大阪大学が動物実験を進めている。米バイオ企業のモデルナ社は、開発中の遺伝子ワクチンについて7月にも3万人規模の最終臨床試験を始めると発表した。

WHOの6月24日時点のまとめによると、現在、臨床試験に入っているCOVID-19ワクチンは、▽英オックスフォード大/英アストラゼネカのウイルスベクターワクチン「ChAdOx1-S/AZD1222」▽米モデルナのmRNAワクチン「mRNA-1237」▽中国カンシノ・バイオロジクス/北京バイオテクノロジー研究所のウイルスベクターワクチン▽米イノビオ・ファーマシューティカルズのDNAワクチン「INO-4800」▽独ビオンテック/米ファイザーのmRNAワクチン「BNT162」▽米ノババックスのナノ粒子ワクチン「NVX‑CoV2373」――など16種類。このほかに125のワクチンが前臨床の段階にあります。


※新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】(6月26日UPDATE)より抜粋

いずれにしてもワクチンの一刻も早い実用化が切に望まれます。