りんご病が流行しています
今年の5月くらいからりんご病(伝染性紅斑)が徐々に増えています。
東京都感染症情報センター発表の伝染性紅斑の過去5年間の比較です。今年は過去5年間で最も多い報告数となっています。伝染性紅斑は4−5年の周期で流行します。
●リンゴ病(伝染性紅斑)
伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)は、ヒトパルボウイルスB19の感染による小児を中心にしてみられる感染症で、両頬がリンゴのように赤くなることから「リンゴ病」とも呼ばれています。
小学校入学前後から2~3年の小児に多く、約半数の人が15歳までに免疫を得ますが、乳児や成人での発症もみられます。
一度感染すると免疫(終生免疫)ができ、生涯二度とかかりません。
●症状
感染経路は鼻水・咽頭などからの飛沫感染でうつります。発疹出現までの潜伏期間は17~18日です。
発疹は、両側の頬に境界がはっきりとした赤い紅斑とが出て、その後手(足)にレース状や網目状の発疹が出ます。この発疹は1週間程度続きます。
発疹が出る7~10日くらい前に、微熱などのかぜ症状がみられることが多いです。
年長児~成人では、腰や膝の関節痛がみられることがあります。
●妊娠中にパルボウイルスB19に感染したら
パルボウイルスB19の流行時期には流産や死産が多い事がわかっています。
妊婦さんが感染した場合、ウイルスが胎盤を通過し、約20%の割合で胎児 に感染を起こします。そのうちの約20%が胎児水腫(胎児のむくみ)や胎児 の貧血を起こします。これは、妊婦感染全体のおよそ4%にあたります。特 に妊娠の早い時期の感染が大きな問題となることが多く、胎児の症状は母体の感染から数週間のうちに出てくることが多いです。 妊娠後期(妊娠28週以降)の母親のパルボウイルスB19の感染による胎児水腫、死産の確率はかなり低いとされています。
●パルボウイルスの感染経路と感染予防
残念ながらパルボウイルスB19のワクチンはまだ開発されていません。また、母児感染を防ぐ 方法も確立されていません。
リンゴ病特有の皮膚の症状が出る1〜2週間前の「風邪のような症状」の時期に感染力があります。
家庭では、感染した人と接触した人の約50%が感染します。学校での流行では、感染した人とおなじクラスの10-60%の生徒が感染します。家庭内にリンゴ病のお子さんがいる場合だけでなく、地域でリンゴ病が流行している場合、小児と接することが多い職業の方は特 に注意が必要です。