世田谷区で麻しん発生
世田谷区で麻しん患者が1例確認されました。
29歳の男性で、6月8日〜6月12日までタイに渡航した後6月22日に発熱、7月4日に麻しんの診断がつくまで新宿・六本木・京都に移動していたようです。麻しんワクチンは未接種だそうです。
今年3月から沖縄で麻しんが大流行したことは、まだ記憶に新しいと思います。99人が麻しんに感染し、6月11日に終息宣言が発表されました。
この麻しんの流行は、台湾から沖縄へ観光旅行にやってきた1人の外国人から始まりました。この男性は、沖縄に4月上旬まで旅行した後、埼玉県内の学校に数日間通い、発症後に東京・品川から新幹線で名古屋まで移動したそうです。
2016年には関西空港を中心として麻疹の流行しました。この時には、33人の空港職員が発症しました。
それ以降も、散発的な麻疹の発生は、繰り返し起こっています。
日本は、2015年3月27日に世界保健機関(WHO)から日本が麻しんの「排除状態」にあるとの認定を受けています。
それなのに、どうして麻しんの流行が繰り返されるのでしょうか?
麻疹は、ワクチンで予防することができるウィルス感染症です。国内の多くの人がワクチンを接種すると、次第に麻疹を発症する人が減少していくことになります。麻疹の「排除状態」とは、海外から持ち込まれてくる以外に、国内発の麻疹が3年以上にわたり発生していないことを条件に認定されます。
しかし、日本が「排除状態」となっても、世界にはまだ麻疹が排除できていない国々が多く残っています。今回の沖縄での流行も、そのきっかけは海外からの旅行者からの発症でした。今の日本における麻疹は、海外から持ち込まれてくる輸入感染症となっているのです。
ワクチンの定期接種を推進したことで、麻疹に対する免疫をもっている人は増えました。しかし、まだ免疫をもっていない人も多く残っています。また、ワクチンを接種しても十分な免疫がつかない人、妊婦や免疫不全者などのワクチンを接種できない人もいます。このようなことから、たった1人の麻疹患者から、感染が拡大してしまうということが起こってしまうのです。
麻疹においては「かからないことが最善の策」です。そのためには、ワクチン接種によって麻疹に対する免疫をつくっておくことが必要です。現在は、麻しん風しんワクチンの定期予防接種を2回受けることになっています。しかし、定期接種になる昭和52年(1977年)より前に生まれた人、そして定期接種となっても1回接種のみだった人の中に、十分な免疫をもっていない人が多く残っています。
麻しんワクチン未接種や1回接種のみだという方は、流行のない時期にもワクチン接種を検討してください。また、海外へ渡航する予定の方は、もしも「麻疹にかかったことがなく、ワクチンを接種していないか接種歴不明」という場合には、渡航前に予防接種を受けておくことをおすすめします。