麻しん(はしか)患者の集団発生について(第2報)
令和8年4月21日(火曜日)に報道発表された麻しん患者の集団発生のその後の経過です。
→保健医療局より
●奉告患者数
児童41人、教職員6人
(第1報:児童17人、教職員1人を含む)
●年代別患者数
5~9歳12人、10代29人、20代1人、30代3人、40代2人
(第1報:10代17人、40代1人を含む)
●主な症状
発熱、発しん等
●海外渡航歴
なし
●ワクチン接種歴
1回以下7人、2回28人、調査中12人
(第1報:1回以下2人、2回16人を含む)
●対応状況
・現在、管轄保健所は関係機関と連携し、接触者への連絡、健康観察、有症状者に対する検査等を進めるなど、必要な感染拡大防止策を講じています。
・当該学校では、学年閉鎖等の対応を実施しています。
※麻しんは感染力が強く、昨年から国内での報告数が増加しており、海外渡航歴のない場合も感染が確認されています。麻しんに対する免疫を持っていない人が、感染している人に接すると、ほぼ100%の人が感染します。
体調が悪い場合、特に発熱している方は外出、移動、人に会うことを控え、自宅等で療養してください。
麻しんを疑う症状があり医療機関を受診する際は、必ず事前に受診先医療機関にご連絡いただき、公共交通機関の利用を控えて、医療機関の指示に従って受診してください。
今回の麻しん集団感染の報道をみると、もちろん麻しんワクチン2回接種が重要ですが、2回接種しても必ずしも十分な予防効果が得られないのではないかという疑問が残ります。
麻しんの抗体価を調べる方法でEIA-IgG法(最も一般的)があります。
基準としては、
・陰性(免疫なし): 2.0未満
・判定保留(不十分): 2.0〜15.9
・陽性(十分): 16.0以上
※一般的には4.0以上で発症予防の免疫があるとされる場合もあります。
医療従事者や妊婦に対してはこの基準が使われます。
先日お示しした年齢別の麻しん抗体価保有状況を参照します。
データの元となっている国立健康危機管理研究機構では、2022年まではPA法(ゼラチン粒子凝集法)で2023年からEIA法(酵素免疫測定法)に検査方法が変更されています。
感染防御に有効な抗体価は、PA法では256倍以上、EIA法では16以上とされています。
検査方法が違うので2022年と2025年を単純に比較はできませんが、傾向は同じです。


0歳児がある程度免疫があるのは母親からの移行抗体があるためです。
生後6が月を過ぎると移行抗体が減弱するため1歳になると麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)1回目の接種を行います。しかし、1回目の接種で抗体価が16以上上昇するのは全体の60%の乳児です。
そこからしだいに抗体価が落ちていき、5歳時には16以上の抗体保持者は50%位になります。
2006年4月から, 麻しん風しん混合(MR)ワクチンの使用が開始され, 同年6月より, それまでの1回接種から1歳児(第1期)と小学校入学前1年間の幼児(第2期)を対象とした2回接種に変更されました。
しかし、どちらのグラフでも、第2期(およそ5−6歳児)以上の年齢層でも抗体価は減少する一方です。
新型コロナ流行の影響で、麻しんワクチン第2期の接種控えがあった可能性がありますが、2020年4月1日~2021年3月31日の東京都の麻しんワクチンの第2期の接種率は94%で、特に大きく下がったわけではありません。
今回の集団発生で、2回接種している小学生が28人も感染しているのは、現在の麻しんワクチンでは2回接種していても十分な免疫が得られていない可能性があるのではないでしょうか?

