赤ちゃんの予防接種スケジュールの立て方
赤ちゃんはママからたくさんの免疫を受け継いで産まれますが、その多くは数カ月も経てば弱くなってしまいます。
予防接種は、小さな赤ちゃんを感染症から守るためにもっとも有効な方法です。予防接種は適正時期を守って早いうちから計画しましょう。
今回は、赤ちゃんが受けるべき予防接種の最適なスケジュールについて解説します。
●ワクチン接種開始はいつから?
生後2カ月が赤ちゃんのワクチンデビューです。ママからもらった免疫力が減ってくる生後5~6カ月までに免疫をつけるため、生後2カ月でのワクチン接種はとても重要です。
●予防接種スケジュール
様々なワクチンがあり戸惑うかも知れませんが、各々のワクチンの接種タイミングが重要です。複数のワクチン接種のため、同時接種も大切です。
ワクチンには法律で定められた「定期接種」と、希望者が各自で受ける「任意接種」があります。現時点でも「ムンプスワクチン」のみが任意接種となっています。「ムンプス」による感染は流行性耳下腺炎といい、まれに難聴になったり、男性では不妊症になったり、膵炎、髄膜炎をおこしたりする怖い病気です。やっと世田谷区でも今年7月から助成(1回につき3000円)が出るようになりました。任意接種ワクチンだから必要ないと決めてかからず、かかりつけ医に相談しましょう。
予防接種スケジュール表(2歳未満)※2024年4月改定の予防接種スケジュールです。出典:MSD
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●B型肝炎
一般的に2種類のワクチン(KMBのビームゲン、MSDのヘプタバックスⅡ)が使用されています。
ビームゲンは国産のワクチンです。日本由来のジェノタイプAというウィルスから作成したワクチンで、チメロサールというエチル水銀に由来する保存剤が入っています。チメロサールはほとんどのインフルエンザワクチンに含まれていて、安全性には問題がないとされています。ビームゲンは主に日本でしか使用されていません。
ヘプタバックスⅡは、アメリカのメルクという会社で作られています。欧米由来のジェノタイプCというウィルスを基に製造されています。アメリカのみならず世界中で使用されています。チメロサールは入っておりません。一部のサイトに、ワクチンの入っている瓶の蓋に天然ゴム(ラテックス)が使われていて、ラテックスアレルギーに注意してくださいと書かれていますが、現在は瓶は使っておらず、最初から注射器に入っているためアレルギーの心配はありません。
当院では、世界中で使用されていてチメロサールの入っていない、ヘプタバックスⅡをお薦めしています。
●ロタウィルスワクチン
イギリスのGSKが製造するロタリックスと、アメリカのメルクが製造するロタテックがあります。
ロタリックスが2回接種、ロタテックが3回接種です。それぞれ2回接種後、3回接種後の予防効果はほぼ変わりません。
ロタウイルスはたくさんの型があります。
その中で一番多い型がロタウイルス流行の65%を占めていて、残りの4型と合わせると90%となります。
ロタリックスは一番多い型に対する1価のワクチン、一方、ロタテックは残りの4タイプを合わせた5価のワクチンとなります。
なぜ、ロタリックスは1価でも5価のロタテックと同様な効果があるかというと、ロタリックスはヒトが感染したロタウィルス由来で交差免疫といって他のタイプのウィルスにも有効だからです。ロタテックはウシが感染したロタウィスル由来なので交差免疫がありません。
ロタウィルス感染は生後6か月以内に感染すると重症化しやすいので、当院では2ヶ月で接種完了するロタリックスをお薦めしています。
●肺炎球菌ワクチン
現時点ではバクニュバンス(15価)というMSDのワクチン1択です。
今までプレベナー(13価)というワクチンを接種していたお子さんもバクニュバンスに切り替え可能です。
●5種混合ワクチン
クイントバック(KMB)とゴービック(阪大微研)の2種があります。
どちらも効果はほぼ同じです。
基本的には交互接種はできません。
※赤ちゃんが生まれたら、生後2ヶ月になるまえにご来院ください。
ワクチンスケジュールについて、詳しくご説明します。