コロナワクチン接種後の中和抗体検査を始めました。

●中和抗体検査
現在国内で使用されているファイザー製、モデルナ製のワクチンは、ワクチン接種によって「中和抗体」という抗体を体内に作ることでウイルスの働きを抑える仕組みです。
今回は、ウイルスの働きを抑え発症や重症化を防ぐ抗体を保有しているかを調べることができる「中和抗体検査」についてご説明します。

抗体は、私たちの体に侵入した細菌やウイルスなどを無力化したり働きを弱めたりする、免疫のはたらきの一つです。
現在接種されているファイザー社のものもモデルナ社のものもmRNAワクチンであり、このタイプのワクチンは、ウイルスの表面に存在するスパイクタンパク質(S)に対する抗体を誘導することで、COVID-19の発症予防効果を発揮します。このスパイクタンパク質(S)に対する抗体が、ワクチン接種後の免疫獲得を示す指標であると考えられています。

●スパイク抗体検査での抗体価の目安
プラーク減少中和試験(PRNT)の結果:ウィルス量を50% まで減少させることを確認する培養細胞での試験(プラーク減少中和試験 (PRNT))で、1:250 希釈のPRNT ID50を使用した確率プロファイルの例では95%信頼区間で4,160AU/mLと報告されています。

●ワクチン接種後の抗体価(欧米のデータ)

2021年5月に長崎大学より発表された日本人を対象とした研究では、ファイザー社/ビオンテック社製のワクチン接種後の抗体価について、1 回接種後14 日の中央値は約1,000AU/mL、2 回接種後7 日の中央値は約22,000AU/mLと報告されています。

●中和抗体検査
当院では「富士レビオ株式会社」の「SARS-CoV-2S-IgG測定試薬(IB)」の実施を始めました。S抗体のIgGのみの検査で、主にワクチン接種後28日以降の中和抗体確認を行います。
富士レビオの「SARS-CoV-2S-IgG」検査 料金5500円(税込)です。
※過去に新型コロナ感染があったかどうかの検査は、①ロシュ・ダイアグノスティックス社(スイス)の「Elecsys Anti-SARS-CoV-2」あるいは②Artron Laboratories Inc. (カナダ)の「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体(Artron)」です。料金はいずれも6600円(税込)です。