新型コロナウィルスとインフルエンザ

毎年12月頃からインフルエンザの流行シーズンに入りますが、今年は新型コロナウィルスが流行している状況でのインフルエンザ流行シーズンはどうなるでしょうか?

2020年1月から2月にかけて中国からの渡航者から初期の流行が広がったことより、2020年2月の各都道府県の平均気温と2020年1月の中国からの旅行者の数について検証したところ、気温が低い地域ほど感染者数が多いという関連がみられました。

つまり、この冬は新型コロナウィルスとインフルエンザウィルスが同時に流行する可能性があるのです。

新型コロナと風邪、インフルエンザとの症状の比較
新型コロナウイルス感染症の初期症状は風邪やインフルエンザと似ています。
風邪は、微熱を含む発熱、鼻水、鼻詰まり、ノドの痛み、咳などの 症状がみられることが多く、またインフルエンザも風邪と似ていますが、風邪に比べると高熱が出ることが多く、頭痛や全身の 関節痛・筋肉痛を伴うことがあります。
新型コロナウイルスとかぜ、インフルエンザの症状とを比べると、 次の図のようになります。
(オーストラリア政府啓発資料より)

●症状以外での新型コロナ、インフルエンザの比較
症状はよく似ていますが、それ以外についてはどうでしょう。
まず、感染経路はどちらも飛沫が主であることが共通しています。
重症化しやすい人も、高齢者や基礎疾患のある方というところは共通していますが、インフルエンザでは2歳未満の小児もハイリスクとされます。
潜伏期はインフルエンザが1~4日、新型コロナが2~14日であり、症状の持続期間も典型的にはインフルエンザでは1週間程度で改善するのに対し、新型コロナでは2~3週以上に及ぶことがあります。
また、新型コロナでは発症する前にも他の人に感染をうつしてしまうことがあり、これは発症後に感染性のピークがあるインフルエンザとの大きな違いです。

●インフルエンザワクチンは接種したほうがよい?
例年インフルエンザ流行前に、特にハイリスクの方はインフルエンザワクチンを接種することが推奨されています。
昨シーズンはインフルエンザの流行は明らかに例年よりも少なかったです。
これは、日本国民が新型コロナの感染対策を徹底することによって本来流行していたはずのインフルエンザも減ったのではないかと考えられています。

インフルエンザワクチンは、新型コロナにも良い影響があるかもしれないという研究も出てきています。
現在冬を迎えている南半球(ブラジル)では、インフルエンザワクチンの予防接種を受けていた人は、そうでない人よりもインフルエンザだけでなく、新型コロナ感染症による重症化リスク・死亡リスクが減った(死亡率が17%減少)という研究もあります。
Inactivated trivalent influenza vaccine is associated with lower mortality among Covid-19 patients in Brazil

もちろんインフルエンザワクチンを接種することで、インフルエンザの流行を抑えることが期待されますので、そういう意味でもインフルエンザワクチンの接種が推奨されます。