RSウィルス

RSウィルス感染症が本格的な流行期に入っています。今後も患者報告数の多い状態が9月に入っても続いていくものと予想されます。

●東京都の定点医療機関あたり患者報告数

●RSウィルス感染症とは
RSウイルスという種類のウィルスによる呼吸器系の感染症です。患者の約75%以上が1歳以下の小児で占められています。
RSウイルス(respiratory syncytial virus: RSV)は、乳児急性気道感染症(細気管支炎、肺炎など)の主な原因ウイルスです。
名前の由来は、呼吸器(respiratory tract)感染症患者から分離され、感染細胞が多核巨細胞つまり合胞体(syncytium)を形成するという特徴からRSウィルスとされました。

●病院と完成経路
病原体はRSウイルス(Respiratory syncytial virus)です。
患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことによる「飛まつ感染」が主な感染経路ですが、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる「接触感染」もあります。

●症状
RSウイルスは接触や飛沫を介して気道に感染し、2-5日の潜伏期の後、発熱、鼻水、咳などで発症、通常1-2週間で軽快します。
しかし2歳以下の乳幼児ではしばしば上気道炎から下気道炎に進展して細気管支炎、肺炎を発症し、特に6ヶ月以下の乳児では入院加療を必要とすることが珍しくありません。免疫不全児、低出生体重児や呼吸器・循環器に基礎疾患をもつ乳幼児は重症化しやすく、特に注意が必要です。
主に乳幼児の間で冬季に流行し、通常10月から12月にかけて流行が始まり、3月から5月頃まで続きます。近年では7月頃より報告数の増加が見られるようになりました。
母体からの移行抗体だけでは感染防御は不十分なため、6ヶ月未満の乳児も感染・発症します。
2歳までにほぼ100%が初感染をうけるとされています。麻しんやムンプスとは異なり一度感染しただけでは感染防御免疫が不十分で、何度も発症しますが、通常再感染のたびに症状は軽くなっていきます。

●治療
ウィルスのため抗生物質は効きません。特別な治療法は無く、症状に応じた対症療法が行われます。
予防のためのワクチン開発への努力は30年来続けられています。しかし、現時点では有効なワクチンは完成していません。
現在利用可能な予防方法としては、RSウィルスに対する抗体製剤であるシナジス(パリビズマブ)があります。我が国では2001年1月に承認されました。RSV流行開始前から流行期の間、1か月毎に筋注することにより予防効果が期待できますが、保険適応となるのは、早産児や心疾患・肺疾患をもつ小児に限られます。

RSウィルス感染症が本格的な流行期に入っています。今後も患者報告数の多い状態が9月に入っても続いていくものと予想されます。特に乳幼児の育児・保育にかかわる方は警戒が必要です。

●RSウィルス感染の予防
RSウイルスなど感染症から赤ちゃんを守るには、何よりも予防が肝心です。RSウイルスは非常に感染力が強く、ウイルスがおもちゃなどに付着してから4~7時間は感染力を持っているといいます。日ごろから外出の後や調理・食事の前、鼻をかんだ後などは石鹸でよく手を洗いましょう。RSウイルスが流行する秋から春の季節には、赤ちゃんを人ごみに連れて行かない配慮も必要です。RSウイルスは目や鼻、口の粘膜から感染します。赤ちゃんは手近においてあるものを何でも口に入れたがりますから、家庭内にかぜをひいている人がいるときは、アルコールティッシュなどで赤ちゃんの周りのものをこまめに消毒しましょう。
また、風邪をひいている大人は、マスクをつけて唾液や鼻水が飛び散らないように気をつけることも大切です。RSウイルスに感染すると、大人は軽いかぜですんでも、はじめて感染する赤ちゃんは炎症が下気道にすすみ、まれに肺炎や重症な気管支炎になることがあります。パパやママがかぜをひいたら、たとえ軽くても油断せずに、手洗いや消毒を徹底してください。