スギ、ダニの舌下免疫療法を5月中旬より始めます

当クリニックでは、スギ、ダニに対する舌下免疫療法を5月中旬から開始する予定です。
具体的に何日から開始するかは、このホームページで掲示します。

●舌下免疫療法とは
免疫療法とは、病気の原因となるもの(アレルゲンと言います)を少ない量からゆっくり増やして体内にいれて、体質を徐々に変えていく治療です。
日本では、注射による方法が1960年代から行なわれていました。注射による方法では、治療開始後しばらく頻回の通院が必要であり、毎回注射の痛みがあります。
舌下免疫療法は、注射による免疫療法の欠点を改善した新しい治療法として2014年にスギ花粉症で初めて保険適応となりました。さらに、ダニのアレルギー性鼻炎も2015年に保険適応となりました。

●治療効果は
治療を行った方の20%が症状が出なくなります。
60%の方が症状が軽くなります。
残念ながら20%の方では治療効果がありません
免疫を変え体質を改善する治療のため、治療開始からすぐ効果を確認出来る治療ではありません。初回服用から数カ月のスギ花粉飛散期に大きな改善がみられる場合や、2~3年後に改善がみられる場合など、効果が出るまでの期間は様々です。1年目より2年目、2年目より3年目の効果が大きいというデータがありますので、焦らず治療していく事が必要です。

●治療はいつまで続けるか
3~5年治療を行えば、治療を中断しても効果が持続すると考えられています。治療をやめて、1~2年後に症状が出てきた場合は、あらためて舌下免疫療法を行うと、効果が元に戻るといわれています。

●もし治療を中断した後、再開は
かぜなどによる短期間での休薬の場合は、一時休薬し、その後、継続可能です。
数か月以上中止したあとで再開する場合、再度、増量期から始めるのか、あるいは維持量から継続するのかは、医師に相談してください。

●治療が受けられない方
・気管支ぜんそく、うつ病、悪性腫瘍(がん)、自己免疫疾患のある方
・妊娠中の方、授乳中の方(治療途中で妊娠した場合、治療は中断します)
・ステロイド剤を服用されている方、あるいは皮膚の広範囲に塗布されている方
・5歳未満の方

●治療の流れ
まず、治療ができるかの適応を決めるために診察や検査などを行ないます。その結果により治療を開始します。
通年性アレルギー性鼻炎とスギ花粉症の両方症状がある方は、両方ともを同時期に開始することはできませんので、まずどちらを優先して行うかを症状や検査結果などから総合的に判断する必要があります。
他院での検査などがある方でも、最初の受診日に舌下免疫療法の治療開始はいたしません。当院で詳しく説明をさせていただき、ご理解いただいてからの開始となります。安全に治療を行なうため、初回の舌下投与は当院内で行い、投与後30分以上院内で経過を観察する必要があります。
そのため、最初の舌下免疫療法の治療日には、午前午後ともに閉院間際での来院しないようにお願いしており、1時間程度の時間の余裕をもって来院いただくようにしています。初回の検査受診日や治療開始後2回目以降については診療時間内であればいつでもお越しいただけます。

Ⅰ.スギ花粉舌下免疫療法(5歳以上)
スギ花粉飛散期に治療開始することはできないため、花粉飛散期となる1月~5月上旬の期間は治療開始できません。
また、効果が現れるのに最低3カ月はかかりますので、6月から10月の間に開始することをお勧めします。

錠剤(シダキュア)を舌の下に置き(錠剤はすぐに唾液で溶けて数秒でなくなります)、1分間そのままの状態を維持した後に飲み込みます(その後5分間は飲食しない)。これを1日1回、3年間〜5年間できるだけ毎日(週5日以上が目標)続けます。
第1回目の服用は病院で、翌日から自宅で毎日行います。
錠剤は2,000 JAUと5,000 JAUの2種類あり、最初の1週間は「増量期」として少量の錠剤(2,000 JAU)を1日1錠服用し、「維持期」となる2週目以降は5,000 JAUの錠剤を1日1錠服用します。
※服用前後2時間は、激しい運動、入浴、アルコール摂取を控える必要があります。

Ⅱ.ダニ舌下免疫療法(5歳以上)
ミティキュア(鳥居薬品)とアシテア(塩野義製薬)の2種類があります。どちらもヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニを50%ずつ含みますが、大きな違いは1錠に含まれるダニエキスの量です。アシテアにはミティキュアよりも約5.7倍多くダニエキスが含まれます。
この2つの治療薬を直接比較した検討はないため、どちらが良いかについてはまだ明かではありません。副反応(副作用)についても、まだ違いがはっきりしていません。
①ミティキュア
ミティキュアを舌の下に置き(錠剤はすぐに唾液で溶けて数秒でなくなります)、1分間そのままの状態を維持した後に飲み込みます(その後5分間は飲食しない)。
これを最初の1週間は3,300JAU錠を、2週目からは10,000JAU錠を毎日舌下投与します。1回目の舌下投与は医療機関で行いますが、以降は毎日自宅で行います。
※服用前後2時間は、激しい運動、入浴、アルコール摂取を控える必要があります。
鼻炎の症状にかかわらずできるだけ毎日3〜5年間行います。

 

②アシテア
アシテアの場合、最初の3日間は「増量期」といわれ、少しずつ用量を増やしていき、4日目以降は「維持量」で継続します。副作用などにより増量器を長くとることがあります。

●通院頻度
初回及び2回目は2週間毎、以後は月1回の受診が必要です。

●治療費用(3割負担の場合)
医療機関で、
初回  約1100円
2回目から 約600円
調剤薬局で、
シダキュアは約1900円、ミティキュア・アシテアは約2200円
※クリニックと調剤薬局を合わせて 1か月 約2300~2800円 年間約30000円前後となります。
※中学3年生以下であれば子供医療費助成制度が適応されます(自治体によります)。

●副作用
従来の皮下注射法と比較して、副作用の頻度や程度がかなり軽く、自宅で安全に行うことができる治療となっていますが、全身副作用であるアナフィラキシーが起こる可能性がゼロではありませんので、体調の悪い日は避け、服用前後2時間の激しい運動、入浴、アルコール摂取を控え、量を間違えずにスケジュール通りにきちんと行う必要があります。
多い副作用は、口の中やのどの腫れた感じ、かゆみ、涙目や鼻汁など、花粉症初期のような軽い症状、吐き気、頭痛などです。
多くは服用後30分以内に起こり、数10分で自然に治まります。また1ヶ月くらい経過すると気にならなくなることが多いといわれています。
ダニ舌下錠では、スギ花粉舌下液よりも副作用の頻度が高く報告されており、より注意が必要です。
心配なことがあった場合は、医療機関へ連絡しましょう。
生活スタイルにもよりますが、副作用のことを考え、何かあった場合に病院へ連絡、受診がしやすいように、慣れるまでは午前中に服用することをお薦めします。