海外旅行先での麻しん感染に注意

約2週間後となったゴールデンウィークに、海外旅行を計画している方もいらっしゃるかと思います。
日本では今年初めに三重県と大阪府から始まった流行ですが、アジアやオセアニア諸国での感染が増えています。
また、ニューヨーク市での大流行が報道されています。

麻疹「輸入」続出、10連休の海外感染をどう防ぐ自治体が注意喚起、罹患歴確認や予防接種推奨も

4/11(木) 17:20配信 CBnews

海外で感染し、帰国後に麻疹(はしか)と診断された「輸入症例」の報告が相次いでいる。東京都では患者全体の2割近くを占めており、千葉県でも過半数の患者に海外渡航歴・滞在歴があった。皇位継承に伴い10連休となるゴールデンウイークを控え、同県は、渡航前に母子手帳で過去の罹患歴や予防接種歴を確認し、罹患・接種歴がなかったり、不明だったりした場合は、予防接種を受けるよう促している。
東京都によると、2019年の麻疹患者報告数(7日まで)は44人。このうち8人(18.2%)が、ベトナムやフィリピン、ミャンマーなどの「国外」で感染したとみられている。このままのペースで患者が増えた場合、1年間で178人の患者が報告された11年の流行と同じ規模となる可能性があるため、「輸入症例」への対応が欠かせない。
千葉県でも、7日までに麻疹と診断された10人のうち6人に海外渡航歴・滞在歴があった。8日以降に診断された1人についても、同県は「海外からの輸入症例と推察される」と説明。海外渡航の際は、現地の流行状況を確認し、かかりつけ医と相談の上、予防接種を検討するよう勧めている。
予防接種に関しては「可能な限り2週間以上前に接種を済ませ、旅行直前に接種する場合は5―14日の体調変化に注意が必要である」と指摘。流行地以外でも、さまざまな国や地域の人が多数往来する観光地や空港などでは、海外で流行する麻疹を含めた病原体にさらされる可能性があることに触れ、「常に注意が必要」としている。
麻疹の患者報告数が全国で最も多い大阪府でも同じような状況に直面している。16年に起きた関西国際空港内の事業所を中心とした麻疹の集団感染では、中国で流行していた遺伝子型「H1」が報告されたが、今回は、東南アジアで流行している遺伝子型「D8」の検出が相次いでいる。帰国者の「輸入症例」に限らず、東南アジアなどの流行地域から入国する訪日外国人を含めた包括的な対策を検討することも急務だ。
感染拡大を防止するため、大阪府は、流行地域への渡航後に発熱や咳、鼻汁などの症状がある場合は、必ずマスクを着用して受診することや、事前に医療機関に連絡し、麻疹の疑いがあることを伝え、指示に従うことを要望。医療関係者に対しても、麻疹を疑った場合は保健所に報告したり、他の医療機関へ紹介する場合は事前に麻疹が疑われる患者であることを伝えたりするよう求めている。

国立感染症研究所発表の2019年第1〜第13週までの推定感染地域別の報告数です。
フィリピン、ベトナムが多くなっています。

はしか撲滅のはずが…米国で大流行 NY、非常事態宣言
2019年4月11日朝日新聞はしかが米国で大流行している。2000年に撲滅を宣言したが、今年に入って4月4日までに465人が感染。流行の中心地の一つニューヨーク市は9日、公衆衛生上の非常事態を宣言した。
はしか患者、国内外で急増 多い帰国・入国者の発症
ニューヨーク市では昨年10月以降、285件が確認され、そのうちこの1週間だけで26件に上る。
会見したデブラシオ市長は「2017年は2件だった。この危険な病気を復活させるわけにはいかない。直ちに行動をとる」。居住者や通勤・通学者に予防接種を義務づけ、ワクチンの未接種者には1千ドルの罰金を科す方針を明らかにした。
米国での感染はニューヨーク周辺や西海岸北部など19州に広がる。米疾病対策センター(CDC)は、流行地域である東欧やイスラエルを訪れた旅行者がウイルスを持ち帰り、ワクチン未接種の人に感染が広まったとしている。
米国では各州が学校に通う児童に必要な各種ワクチンを定めているが、宗教的理由や個人の信条でワクチン接種を免除できる州が大半を占める。ワクチン接種義務化が個人の自由を侵害すると考える保守層も多く、幼児のはしかのワクチン未接種率がじわじわと上昇している。
世界保健機関(WHO)は今年の公衆衛生上の10の脅威の一つに「ワクチンを避ける態度」を挙げる。ワクチンの効果を疑問視したり、科学的根拠のないまま副反応があるとあおったりする誤情報が、ソーシャルメディアを通じて子を持つ親の間に拡散している。トランプ米大統領もかつてツイッターでワクチンが自閉症を引き起こすとの懐疑論をつぶやいている。
はしかは最も感染力の高い病気の一つと言われる。WHOのタリク・ヤサレビッチ報道官は「はしかは他の病気のリトマス試験紙。はしかの予防接種を受けていない子どもは、他の重要なワクチンも受けていない可能性が高い。いつか大流行する結果になる」と警告している。

 

WHO発表の「Measles-Rubella Bulletin 2019」からの抜粋です。
麻しん報告数が多い地域ほど赤色が濃くなっています。フィリピン、中国、マレーシア、シンガポール、日本、ニュージーランドが発生報告が見られます。

2018年8月から2019年2月までの報告者数です。

麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。
麻しんの予防接種が最も有効な予防方法です。また、麻しんの患者さんに接触した場合、72時間以内に麻しんワクチンの接種をすることも効果的であると考えられています。麻しんワクチンを接種することによって、95%以上の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。
ワクチンを1回接種されている方でも、免疫が落ちている可能性もあるため、2回目の接種をお薦めします。
風しんも流行しているため、麻しん風しん混合ワクチンがお薦めです。