麻疹・風しん流行の兆し
三重県と大阪府で麻しん患者が増加しています。
医師含む10人が麻疹院内感染…大阪で患者報告相次ぐ2/18(月) ヨミドクター 大阪府内で15日、麻疹(はしか)の患者の報告が相次ぎ、茨木市内では医師を含む10人の院内感染が確認された。府内の患者数は今年に入り60人を超えたとみられ、過去10年で最多のペースだ。保健所などは早期の受診やワクチン接種を呼びかけている。 大阪市保健所は、阿倍野区の百貨店「あべのハルカス近鉄本店」の客2人が新たに感染したと発表した。2人は40歳代と20歳代の男性で、1月25~26日にバレンタインフェア会場を訪れ、40歳代男性は2月8日、20歳代男性は同13日に発症した。これで同会場の従業員と客らの感染者は、計18人となった。 府は、茨木市の「大阪府済生会茨木病院」ではしかの院内感染があり、医師1人を含む計10人に症状が出たと発表した。外来患者1人の感染が1月30日に判明し、この患者を診た医師と、ほかの患者3人、事務職員5人にも広がったという。 このほか東大阪市は、市内の医療機関を受診した30歳代の女性2人が、はしかと診断されたと発表した。 府が2月10日までに集計した患者数は46人で、三重県の49人に次いで2番目。全国的に大流行した2008年(大阪府内で394人)以来の規模になる恐れもあるという。46人のうちワクチンを2回接種した人が11人(24%)に上った。近年は流行が少なく、接種者の免疫力が落ちていることも考えられ、一度流行が始まると感染と発症を完全に抑えることは難しいという。 国立感染症研究所感染症疫学センターの大石和徳センター長は「人が集中する大阪市中心部から広がり始めたことが心配だ。患者の連続発生を早く断つことが重要で、自治体は早めに情報を発信し、共有することが最も効果的だ」と話す。 はしかは10日ほどの潜伏期間の後、39度以上の高熱や発疹、せきが出る。先進国でも1000人に1人が死亡し、妊娠中に感染すると流産や早産の恐れもある。 大阪市立大の綾田稔・准教授(ウイルス学)は「疑わしい症状が出た時は速やかに医療機関を受診すべきだが、院内感染を防ぐため受診前に電話などで相談を」と呼びかけている。 |
また、フィリピンなどで麻しんが大流行しています。
海外旅行を予定している方は注意が必要です。
フィリピンで麻疹流行、1月だけで1813人感染 25人死亡2019年2月8日 16:29 発信地:マニラ/フィリピン 【2月8日 AFP】フィリピンで麻疹(はしか)が流行している。当局は7日、1月だけで1813人の感染が新たに確認され、少なくとも25人が死亡したと発表した。 死者の多くは子どもで、感染が拡大していることから、今後も犠牲者の増加が予想される。 保健省の統計によると、麻疹の年間患者数は2017年には791人だったが、18年には5120人に急増した。死者も17年には年間で5人だったのが、18年には8月までに30人を数えた。 フィリピン当局は7日の記者会見で、国内で麻疹の予防接種を受ける人が5年連続で減少している点を指摘。また、接種率低下の一因として、世界初のデング熱ワクチン「デングワクシア(Dengvaxia)」の安全性をめぐる懸念があるとの見方を示した。 「デングワクシア」はフィリピン政府の方針で約83万7000人の子どもたちに接種が行われたが、接種者に深刻な症状が出る恐れがあるとのメーカーの警告を受け、2017年末に公的接種が中止されている。 麻疹は感染力が非常に高く、近年、世界的に再流行している。(c)AFP
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●麻しん・風しんの発生状況
次の表は国立感染症研究所発表の麻しん・風しんの発生状況(2月3日〜9日)の一覧表です。
累計でみると、麻しんは三重県が49名、大阪府が41名、愛知県が14名、東京都が10名となっています。
風しんは東京都が最も多く、累計で101名、神奈川が57名、千葉県37名、大阪府32名となっています。
●麻しんとは
麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。
麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症します。
●麻しんの症状
感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。
その他の合併症として、10万人に1人程度と頻度は高くないものの、麻しんウイルスに感染後、特に学童期に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる中枢神経疾患を発症することもあります。
●風しんについて
風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる急性の風しんウイルスによっておこる急性の発疹性感染症で、風しんへの免疫がない集団において、1人の風しん患者から5~7人にうつす強い感染力を有します。
風しんウイルスの感染経路は、飛沫感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播します。
●風しんの症状
感染すると約2~3週間後に発熱や発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。風しんの症状は、子どもでは比較的軽いのですが、まれに脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症が、2,000人~5,000人に1人くらいの割合で発生することがあります。また、大人がかかると、発熱や発疹の期間が子どもに比べて長く、関節痛がひどいことが多いとされています。
症状は不顕性感染(感染症状を示さない)から、重篤な合併症併発まで幅広く、特に成人で発症した場合、高熱や発疹が長く続いたり、関節痛を認めるなど、小児より重症化することがあります。また、脳炎や血小板減少性紫斑病を合併するなど、入院加療を要することもあります。
また、風しんに対する免疫が不十分な妊娠20週頃までの妊婦が風しんウイルスに感染すると、先天性風しん症候群の子どもが生まれてくる可能性が高くなります。
●風しんの発生状況
かつてはほぼ5年ごとの周期で、大きな流行が発生していました。特に平成14年からは局地的な流行が続いて報告されるようになり、平成15年~平成16年には流行地域の数はさらに増加し、例年0~1名であった先天性風しん症候群が10名報告されました。
これを受けて、厚生労働科学研究班による予防接種の勧奨、風しんり患妊娠女性への対応、さらに流行地域における疫学調査の強化がなされ、その後、風しんの流行は一旦抑制されました。
ところが、平成23年から、海外で感染して帰国後発症する輸入例が散見されるようになり、平成25年には累計14,344例の報告があり、風しんが全数報告疾患となった平成20年~平成25年では最も多い報告数となりました。この流行の影響で、平成24年10月~平成26年10月に、45人の先天性風しん症候群の患者が報告されました。その後、平成26年から平成29年にかけては、各々年間319例、163例、129例、93例の報告があり、平成23年以前の水準に落ち着いていたものの、平成30年には7月下旬頃から関東地方を中心に患者数の報告が増加しています。
●麻しんワクチン
麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。
麻しんの予防接種が最も有効な予防方法です。また、麻しんの患者さんに接触した場合、72時間以内に麻しんワクチンの接種をすることも効果的であると考えられています。
麻しんワクチンを接種することによって、95%以上の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。2006年度から1歳児と小学校入学前1年間の小児の2回接種制度が始まり、2008年度から2012年度の5年間に限り、中学1年生と高校3年生相当年齢の人に2回目のワクチンが定期接種として導入されていました。
●風しんワクチン
風しんの予防のためには、予防接種が最も有効な予防方法です。
風しんワクチンを接種することによって、95%以上の人が風しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。さらに、接種後年数の経過と共に、免疫が低下してきた人に対しては、追加のワクチンを受けることで免疫を増強させる効果があります。
★これからワクチン接種をご検討されている方は、麻しん風しん混合ワクチンがお薦めです。麻しんあるいは風しんどちらかの免疫がすでにある方でも、体には特に影響はありません。混合ワクチンを接種することで免疫がより持ち上がります。