手足口病流行が警報レベルに

子供の「夏かぜ」と言われているものには、手や足、口の中に水疱ができる「手足口病」、発熱と口の中に発疹が現れる「ヘルパンギーナ」が挙げられます。
また、高熱、のどの痛み、眼の充血や目ヤニといった症状が現れる「咽頭結膜熱」も、「夏かぜ」の一つに数えられ、この病気はプールの水を介して感染することが多いことから、「プール熱」とも呼ばれています。
これらの病気は、いずれもウイルスが感染することで起きる疾病です。「手足口病」と「ヘルパンギーナ」は共にコックサッキーウィルスなどのエンテロウイルス属のウイルス、そして「咽頭結膜熱」はアデノウイルスの感染が原因で起こります。
今回は、現在流行している「手足口病」についてご説明します。

手足口病が警報レベルに 過去10年で最多ペース
7/2(火) 産経新聞乳幼児を中心に口内や手足に発疹ができる「手足口病(てあしくちびょう)」

の患者数が6月23日までの1週間で1医療機関当たり5・18人となり、警報レベル(5人)を超

えたことが2日、国立感染症研究所の調べで分かった。この時期としては過去10年で最多。西日本で感染拡大が目立ち、厚生労働省などが注意を呼びかけている。
感染研によると、6月23日までの1週間で全国の定点医療機関(小児科、約3千カ所)から報告された患者数は1万6417人。都道府県別では、1医療機関当たり福岡の17・33人が最多で、福井(15・26人)▽佐賀(13・17人)▽鳥取(11・84人)▽高知(10・07人)-が続いた。警報レベルを超えたのは24府県で、大阪は9・15人、東京は2・73人だった。
手足口病は例年夏に流行のピークを迎え、5歳以下の患者報告数が多くを占める。口内や手足にできる水疱(すいほう)性の発疹が主な症状で、熱が出ることもある。通常は


数日のうちに治るが、まれに髄膜炎や脳炎などを引き起こすこともある。  くしゃみなどの飛沫(ひまつ)や便を通じて感染するため、保育施設などで集団感染が起こりやすい。厚労省は予防として、こまめな手洗い、排泄(はいせつ)物の適切な処理のほか、タオルを共有しないことが重要としている。

 

東京都の定点あたりの報告数です。過去5年間に比べて最多の報告数となっています。

●手足口病
手足口病は、口腔粘膜および手や足などに現れる水疱性の発疹を主症状とした急性ウイルス性感染症であり、乳幼児を中心に主に夏季に流行する疾患であす。病原ウイルスは主にコクサッキーA16(CA16)、エンテロウイルス71(EV71)であり、その他CA6、CA9やCA10などのエンテロウウイルスによっても発症する。例年4月頃から患者数が増加し始め、流行のピークは7月の中旬か下旬となり、8月に入ると減少していく、という経過をたどります。
感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染で、保育園や幼稚園などの乳幼児施設においての感染予防は、手洗いの励行と排泄物の適正な処理が基本となります。
症状の経過は、感染から3~5日の潜伏期間の後に、口腔粘膜、手掌、足底や足背などの四肢末端に2~3mmの水疱性発疹が出現します。発熱は約3分の1に認められるが軽度であり、高熱が続くことは通常はありません。本症は基本的には自然に治癒する予後良好の疾患です。しかしながら、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症などのほか、心筋炎、急性弛緩性麻痺などの多彩な臨床症状を呈することがあります。